まじないの世界

中世という時代

 当時は、銭や御札に祈りを込め、災難や病気を防ごうとするまじないが、当たり前なこととして行われていました。

 

蘓民将来<そみんしょうらい>というお守り

画像:出土した蘓民将来のお守り
出土した蘓民将来のお守り

 四角柱の形をした蘓民将来というお守りが見つかっています。

 約1,300年前の書物には、次のような話が残っています。

 

 -備後国(広島県東部)風土記から-

 ある若者が結婚相手を探す旅に出ました。ある晩、お金持ちの巨旦将来<こたんしょうらい>の家に泊めてくれるように頼みましたが、汚れた身なりを見るなり若者を追い返しました。その後、若者は巨旦将来の兄の蘓民将来<そみんしょうらい>の家を訪れました。蘓民将来は生活は貧しかったのですが若者をやさしく泊めてあげました。

 別れる時、若者は「私は実はスサノオの神である。今後、災難や病気が起こったら、蘓民将来の子孫と言って茅<ち>の輪を着けている者は災難や病気を防ぐことができるであろう」と言いました。

 

 スサノオの神は後に大国主の神や牛頭天王<ごずてんのう>、薬師如来ともいわれるようになりました。このため、これらの神仏を祀る神社や寺では、蘓民将来<そみんしょうらい>のお守りが売られているところも多いようです。