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1 イボとり地蔵<じぞう>

お話を聞く

 

 むかしむかしのことです。上種足<かみたなだれ>の枳立<からたち>という所に、それはそれは美しい女の子が生まれました。ところが、どうしたことか娘<むすめ>ざかりになると、顔いっぱいにイボができ、醜<みにくい>い姿となってしまいました。娘は来る日も来る日もそれを悩<なや>み、死のうとさえ考えました。

 ある晩<ばん>のことです。お地蔵<じぞう>様が夢枕<ゆめまくら>に立ちました。

 「若い身空<みそら>で死ぬことはありません。毎日おかゆを食べ、私のところへ朝夕お参<まい>りに来なさい。21日目にはイボを全部落としてあげます。そしたら、イボの数だけ団子<だんご>を作って供<そな>えなさい」

 娘は早速<さっそく>、お地蔵様のお告<つ>げに従<したが>いました。毎日おかゆを食べては、朝に夕にと、お参りを欠<か>かしませんでした。

 そして21日目の朝。いつものように顔を洗うと、ポロポロとイボがとれるではありませんか。娘の顔はあっという間に、元の美しさに戻<もど>りました。娘は泣いて喜び、お地蔵様にイボの数だけ団子を供え、何度もお礼をいいました。

 それからというもの、イボを取ってほしい人は、このお地蔵様にお願いするようになりました。そうしたことから、誰とはなしに「イボとり地蔵」と呼ぶようになったということです。

 

※地蔵様は母なる大地。この世の生命を慈<いつく>しみ、様々な願いを聞いてくれます。そんなことから、トゲ抜<ぬ>き・毒消<どくけ>し・子授<こさず>け・延命<えんめい>など、あらゆる願いが託<たく>されました。上種足<かみたなだれ>・森住<もりずみ>家西にある、イボとり地蔵もその一つ。肩から胸へと、幾重<いくえ>にも掛<か>けられたタスキが、村人の願いを語っているかのようです。