38 泥庚申<どろこうしん>

お話を聞く

 

 正能<しょうのう>の十字路近くに、見るからにこわそうな顔の庚申様<こうしんさま>(町指定文化財)が立っています。

 顔はこわそうですが、実は、あらゆる災<わざわ>いを除<のぞ>いてくれる、有<あ>り難<がた>い神様なのです。特に歯痛やイボとりには、大変すばらしい力があったといいます。

 

 ところが、そのお願いの方法が変わっています。川の泥をボタ餅<もち>のようにして丸め、顔をめがけて「エイッ!」と投げます。こうやって泥をぶつけるのが正式な決まりだそうです。そんなわけで、この庚申様は〝泥庚申〟とよばれています。

 

 どうりで、こわそうに見える顔も泥だらけです。また、この庚申様は、とってもお酒が好きなので、お礼は庚申様の前に置いてある竹筒にお酒を入れてあげることになっているそうです。

 

 いまでは、医学が発達した世の中になったので、泥をぶつけてお願いする人もいなくなりました。