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48 龍花院<りゅうかいん>の大寂<だいじゃく>さん

お話を聞く

 

 正能<しょうのう>の龍花院に、大寂という偉いお坊さんがいました。難しいお経を訳<やく>したり、雀<すずめ>の鳴き声を聞き分けたりと、それはそれは、たいしたお坊さんでした。

 

 ある日のこと、本堂の屋根を直していた時です。

 職人さんが

 「和尚さん、明日は三隣亡<さんりんぼう>の日なもんで、休みをもらいてぇんですが」

 和尚さんは

 「なあに、なに。そんなことは構わないから明日も来てくれ」と言いました。

 職人さんは

 「三隣亡に仕事すっと良かねぇことがおこるっていうが、大丈夫だんべか」

 心配そうな声で、職人は更<さら>に聞き返しました。

 「いいか、みんな。明日、三隣亡という鳥が火の縄をくわえて飛んでくる。それさえ気を付ければ大丈夫だ。その時はわしが知らせるから、安心しなさい」

 みんなは不思議に思いながらも、和尚さんの言葉に従うことにしました。

 

 そして翌日。屋根で職人さんが仕事をしていると

 「おーい、おい、みんな降りろ。三隣亡が通るから早く降りなさい」

 下の方から和尚さんの叫び声がしました。急いで降りると

 「わしの衣<ころも>(服)の中から上をのぞいて見なさい。三隣亡が見えるぞ」

 そういって、和尚さんは手まねきをしました。

 職人さんたちが、衣の中から上をのぞいて見ると、ホトトギスのような、カラスのような不思議な鳥が、飛んでいくのが見えました。 

 みんなは和尚さんの神通力<じんつうりき>のすごさに驚くと共に、その偉大さに改めて感心したということです。

 

※三隣亡<さんりんぼう>とは、毎月一日ずつある「悪い日」とされる日。特にこの日家を建てるのは凶<きょう>(もっとも悪い)とされ、これを守らないと隣り近所の三軒が火事になるといわれました。