34 雪掻<ゆきか>

お話を聞く

 

 むかし、ある朝のことです。前の晩からの雪が一尺<いっしゃく>(約30センチ)も降り積<つ>もり、あたりは一面の雪景色となりました。いつになく早く目を覚<さ>ました主人は、白く積もった雪を見て、さっそく使用人を起こしました。

 主人は「今朝は見たとおりの大雪じゃ。このまま放っておくと庭仕事が大変だから、朝飯前に雪を掻<か>いてくれ」と頼みました。

 使用人は「こんな朝早くから…」と思いましたが、言われるままに返事をしました。

 その頃の大金持ちの庭というのは、とても広いものでしたから、雪掻きは大変な作業でした。

 

 ふだんから人使いの荒い主人を、びっくりさせようと思った使用人は、あれこれと考え始めました。そこで相棒<あいぼう>を起こすと、訳<わけ>を話して馬小屋から馬を連れ出しました。

 馬にマンガ(土を耕<たがや>す道具)をくくり付けると、二人で田植えの代掻<しろか>き(田を耕すこと)をするように、何回も庭を行ったり来たりしました。すっかり庭の土が雪と混ざり合った頃です。作業の様子を見に来た主人は、あまりのことにびっくりしました。

 「わしは雪を取り除くように言ったんだ。誰が庭をコチャコチャにしろと言った!」
 「いいえ、旦那が雪を掻けっていうもんだから、代掻きと同じように雪掻きしたんです 」

 主人はしてやられたと、カンカンになって怒ったということです。